JR九州 アクアエクスプレス 水戸岡鋭治氏が初めてデザインした鉄道車両

鉄道
spaceaero2, CC BY-SA 3.0 , ウィキメディア・コモンズ経由で https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Kiha58_aqua_express_hakata.jpg

こんにちは!今回は「アクアエクスプレス」について解説します。JR九州といえば水戸岡デザインの車両が有名ですね。発足間もない頃のJR九州に登場した「アクアエクスプレス」は、水戸岡鋭治氏が初めてデザインを手がけた鉄道車両でした。

海の中道へのアクセス列車

1980年代に入ると、香椎線沿線の「海の中道」は福岡市中心部から近い海洋リゾートとして人気を集めていました。1983年、国営海の中道海浜公園にサンシャインプールが設置されます。同年、プール利用客向けに博多~西戸崎を直通する夏季限定の臨時普通列車「サンシャイン号」の運転が開始されました。 車両は急行型気動車のキハ58系が用いられ、当時の普通列車には非冷房車が残る中で全車冷房車の編成を組み、専用のヘッドマークが取り付けられていました。

1987年4月1日、国鉄分割民営化によりJR九州が発足しました。翌1988年7月30日、「サンシャイン号」に代わって同区間・通年運転の普通列車「アクアエクスプレス」が運転を開始します。キハ58を改造した同名の専用車が充当されました。

水戸岡鋭治氏のデザインで改造

「アクアエクスプレス」は後にJR九州の観光列車をはじめ、多くの鉄道車両をデザインすることになる水戸岡鋭治氏が初めてデザインした鉄道車両です。キハ58系を改造した3両編成で、車番はキハ28 7001-キハ58 7003-キハ58-7004となっています。

両先頭車の先頭部は傾斜を付けたデザインの非貫通型に改造されましたが、中間車は原型のままで運転台も残されていました。運転席後部の仕切りをガラスとすることで、前面展望が楽しめるようになっています。側窓は固定化され、車体上部の角部分には曲面ガラスを用いた天窓が追加されました。塗装は白地に紺帯とされました。

車内には転換クロスシートがシートピッチ940mmで、2+2配置となっています。一部の座席は窓側に向けて固定可能な回転式クロスシート「パノラマシート」で、その反対側のシートは1人掛けとなっています。客室中央にはカウンターが設置され、その中にはカラオケ機器が収められています。また、客室後部にはプロジェクターとスクリーンが設けられました。

Muyo, CC BY-SA 3.0 https://creativecommons.org/licenses/by-sa/3.0, ウィキメディア・コモンズ経由で
https://commons.wikimedia.org/wiki/File:JRKyushu_DMU_kiha587003.jpg
キハ58 5003 キハ58系の原型に近い外観を残している

運用

1991年3月12日、工事用仮設踏切でパワーショベルと衝突し脱線しました。先頭のキハ28 7001が復旧するまでは、通常のキハ28又はキハ65を代わりに連結し運転されました。

1993年3月18日、「アクアエクスプレス」は肥薩線急行「くまがわ」用に転用されました。翌1994年6月、JR九州は団体列車用のジョイフルトレインを全廃しましたが、定期列車用の「アクアエクスプレス」はこの時点では残存しました。

1998年に中間車のキハ58 7003が廃車されました。そして、「アクアエクスプレス」は2000年3月11日を以って急行「くまがわ」の運用から離脱しました。

その後、「アクアエクスプレス」は晩年を豊肥本線の普通列車で過ごします。2001年3月にキハ58 7004が廃車、2002年3月には最後まで残ったキハ28 7001が廃車となり、アクアエクスプレスは完全引退となりました。

まとめ

いかがでしたでしょうか。今回は「アクアエクスプレス」について解説しました。

初の水戸岡デザイン車両となった「アクアエクスプレス」は、JR九州の観光列車の原点と言える車両でした。団体列車や特急ではなく、普通列車として活躍した点が珍しいですね。カラオケ機器やプロジェクター、スクリーンといった設備は当時のジョイフルトレインの定番と言えます。

最後までお読みいただきありがとうございました。ぜひ他の記事もお読みになってください。

参考文献

ジョイフルトレイン図鑑 小賀野実 JTBパブリッシング

Wikipedia

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