高市早苗氏のスープラ

こんにちは。乗り物解説の部屋です。今回は「高市早苗氏のスープラ」について解説します。

年式・仕様・グレード

「さなえスープラ」こと高市早苗氏の70系スープラ。このスープラは高市氏が働いて貯めたお金で初めて買った新車で、地元奈良で購入しました。当時の価格はオプション含め430万円でした。スープラの前の愛車は中古のセリカXXでした。

高市氏のスープラは1991年式、型式はJZA70です。グレードは1990年のマイナーチェンジで追加された最上級グレードの2.5GTツインターボリミテッドで、ワイドボディとなります。トランスミッションは4ATです。

車体色はスーパーホワイトパールマイカで、サイドモールはグレーです。内装色はマルーンです。また、サンルーフや本革エクセーヌトリム等のオプションを装備しています。レストア前時点での走行距離は7.7万キロでした。

22年間乗った後、どうしても捨てられずに登録抹消後も奈良の整備工場で保管していました。屋内保管でしたが、約10年間を経て不動状態となってしまいました。

スープラが話題に

高市氏のスープラは2012年に週刊新潮の「有名人のちょっと変わった愛車たち」特集で紹介されていました。2021年9月の自民党総裁選を前に、デイリー新潮で前述の記事のうち高市氏のスープラに関する記述が再掲載され、SNSでクルマ好きを中心に話題となりました。

続く衆院選では奈良トヨタ社長の提案でスープラが選挙事務所前に展示され、話題のスープラを一目見ようと多くの人が訪れました。

レストアプロジェクト

奈良トヨタでは、2015年~2016年にかけクラウン60周年を記念し、全国のトヨタディーラーで行われたレストア企画「DISCOVER CROWN SPIRIT PROJECT」以来、技術の伝承を目的として独自にトヨタ車のレストアを行ってきました。それ以前にも、2004年に2代目コロナのレストアを実施した実績もあります。2021年11月にはこれまでレストアした旧車を展示する自動車博物館「まほろばミュージアム」を開館しています。

2022年2月17日、奈良トヨタ80周年記念企画として奈良トヨタによる「さなえスープラ」のレストアプロジェクトが始まりました。プロジェクトチームは社員有志10名で、エンジニアが6名、ボディ担当2名、塗装担当2名です。

レストア前の状態は屋内保管だったこともあり年式の割に比較的良好で、外装は選挙事務所での展示前に磨かれ綺麗で、部品の欠損もありませんでした。

しかし、年式相応の経年劣化はあり、内装の色褪せやメッキの剥がれ、ゴム類の劣化はありました。

車体から降ろされた状態で保管されていた燃料タンクは錆び、中のガソリンは腐っていました。

特に大きなダメージがあったのはダッシュボードとトランクルームでした。ダッシュボードにはメーターフードに2本のクラックが入っていました。

トランクルームは雨漏りを起こしており、スペアタイヤ格納スペースのフロアパネルが腐食、固定部は再利用できない状態でした。

また、奈良トヨタのレストアではトヨタの正規ディーラーと言うことで、修理には純正品とGRヘリテージパーツ(TOYOTA GAZOO Racingによる復刻部品)のみを使用し、一般的なレストアで用いられることの多い社外品は使わないという制限を設けています。旧車は製造中止になって在庫が無い部品も多い為、レストアの難易度はより上がっています。

奈良トヨタでは以前、赤い70スープラをレストアした実績があり、この経験も生かされました。

お披露目とパレード

2022年10月29日、新しくなった奈良トヨタ田原本本社の竣工式典に合わせて、レストアされ新車同然の姿になったさなえスープラの完成セレモニーが行われ、高市氏も出席しました。同時期にレストアが進められていた長野五輪オフィシャルカーのハイエースレジアスも公開されました。

完成したさなえスープラとハイエースレジアスは展示場所のまほろばミュージアムまでパレードを行います。パレードには以前レストアされた赤いスープラも参加しました。

高市氏がエンジンをかけ助手席に乗り、奈良トヨタ社長が運転する予定でしたが、高市氏は免許証と眼鏡を持参し、自ら運転して奈良トヨタ社長を助手席に乗せ走行しました。車内では奈良トヨタの計らいで高市氏が当時運転する際に聞いていたB’zの「ALONE」が流されました。

高市氏が運転したのは奈良トヨタ田原本本社から中継地点の奈良歴史芸術文化村までで、高市氏とスープラはここでお別れとなりました。その後、車列はまほろばミュージアムに到着しました。現在、さなえスープラは奈良トヨタがレストアした車両たちとともにまほろばミュージアムに展示されています。また、イベントの際には走行することもあります。

最後までお読みいただきありがとうございました。今回は「高市早苗氏のスープラ」について解説しました。

ぜひ他の記事もお読みになってください。

参考文献リスト

デイリー新潮 高市早苗・前総務相の愛車は430万円「スープラ」 22年乗り続けてニッコリのお宝写真

AUTO MESSE WEB

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高市早苗大臣の「70スープラ」レストアの舞台裏とは? チーム「さなえスープラ」のこだわりと創意工夫を担当者に直接聞いてみました。

ベストカーWeb

高市早苗氏が22年乗った愛車A70スープラのレストアプロジェクト始まる!

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