こんにちは!今回は「アルファコンチネンタルエクスプレス」について解説します。
石勝線の開通
1981年10月1日、札幌から道東への短絡ルートである石勝線が開通しました。同線の開業により千歳空港駅(現南千歳駅)から石勝線沿線は首都圏から所要4~5時間で来ることが出来る通常リゾート成立圏内となりました。
石勝線沿線にはスキーブームを背景にリゾートホテルが作られ、石勝高原駅(トマム駅)にはアルファリゾートトマムのホテルアルファトマムが、新得駅にはサホロリゾートの狩勝コンチネンタルホテルが作られました。
リゾートホテルとの提携
スキーリゾートへのアクセスを担う臨時列車には、急行型気動車のキハ56系(キハ58系の北海道仕様)が用いられていました。しかし、キハ56系は既に旧式の車両で、リゾートへのアクセスに見合う車両とは言えませんでした。
そこで、ホテルアルファトマム(アルファリゾートトマム)と狩勝コンチネンタルホテル(サホロリゾート)は国鉄の列車を貸し切ってツアー客用の団体列車として運転することで、国鉄の営業収入を保証する代わりに、特別車両の開発を提案します。前代未聞の提案でしたが、国鉄にとっては有利な条件であり、増収策を求めていた国鉄はこれを受け入れました。
この提携で生まれたのが「アルファコンチネンタルエクスプレス」で、1985年12月21日にデビューしました。
改造 国鉄初の前面展望車
「アルファコンチネンタルエクスプレス」の改造種車は前述のキハ56系で、改造後はキハ59系を名乗りました。
両先頭車は前寄りの車体を切断し、新造した展望室の構体を接合しました。展望室は床が600mm高いハイデッカー構造となっています。国鉄では初の前面展望車となりました。後に登場した急行型気動車改造ジョイフルトレインにも同様の設計で展望車とした例が複数あります。
車内は全席普通車扱いで、座席は回転式リクライニングシートを2+2配置としました。リゾートホテルのラウンジのような高級感のある内装となっています。
当初はキハ59 1-キハ29 1-キハ59 2の3両編成で登場しました。運転開始後、好評を博したことから増結車として塗装のみ変更したキハ56系のグリーン車キロ26 202が加わりました。しかし、設備面で格差がある事から、1986年に内装を揃えた増結車キハ59 101が加わり4両編成になりました。
引退
「アルファコンチネンタルエクスプレス」は種車が急行型気動車のキハ56系であり、特急型気動車と比べると最高速度95km/hと遅く、コイルバネ台車の為乗り心地でも劣りました。種車も古いことから老朽化の進行もあり、キハ183系「ノースレインボーエクスプレス」の登場を機に引退することになりました。
「アルファコンチネンタルエクスプレス」は1994年10月23日を以って運行終了、1995年10月10日に廃車されました。しかし、国鉄初の前面展望車として登場し、後の急行型気動車改造ジョイフルトレインにも影響を与えた先頭車は、キハ59 1の前頭部が苗穂工場北海道鉄道技術館に、キハ59 2が竹田牧場で保存され、その姿を現代に伝えています。
まとめ
いかがでしたでしょうか。今回は「アルファコンチネンタルエクスプレス」について解説しました。
「アルファコンチネンタルエクスプレス」は国鉄末期、国鉄とリゾートホテルが提携して生まれたジョイフルトレインでした。国鉄初の前面展望車として登場し、乗客に好評を博しましたが、元が急行型気動車である故の欠点もあり、運転を終了しました。しかし、「アルファコンチネンタルエクスプレス」は後に続くジョイフルトレインにも影響を与え、また現在も先頭車が保存されています。
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参考文献
ジョイフルトレイン図鑑 小賀野実 JTBパブリッシング
日本のパノラマ展望車 徳田耕一 JTBパブリッシング
Wikipedia