こんにちは!今回はJR東日本のジョイフルトレイン「彩」について解説します。485系特急形電車を改造した「彩」は見た目がドラゴンボールの悪役キャラクター「フリーザ」に似ていることから、「フリーザ電車」の愛称で親しまれていました。彩の写真を見てもらうとわかりますが、顔が似ていますね。その外観のインパクトだけでなく、充実した車内設備も魅力的な列車でした。どのような魅力がある列車なのか、一緒に見ていきましょう。
客車のお座敷列車を電車に置き換える
JR東日本長野支社では1995年から14系客車を改造したお座敷列車「浪漫」を運用していました。しかし、機関車での牽引が必要なことと老朽化から、特急形電車の485系1000・1500番台を改造した後継車で置き換えることになりました。新潟支社の新潟車両センターに所属していた4両編成2本から6両編成1本を組み(余剰車2両は廃車)、2006年5月~12月にかけ長野総合車両センターで改造され、長野総合車両センターに配置されました。
改造車は「彩」と命名され、2007年1月21日の「山梨よくばりツアー」でデビューしました。
彩の外装 フリーザ顔と市販テレビ流用ヘッドマーク
JR東日本の485系改造ジョイフルトレインの多くは車体を乗せ換えていますが、「彩」は原型の車体を用いています。しかし前面デザインと塗装が変更され、大きく印象を変えました。
前面は前照灯と尾灯の位置が変更され、上部に設置された釣り目のライトケースにまとめて収められました。幕式ヘッドマークに代わって市販品の40インチ液晶テレビを取り付け、表示内容をDVD又はCD-Rから読み取る仕様としています。
塗装は白を基調に下部をベージュに塗装、上部は車両ごとのイメージカラーとされました。運転席窓枠と客室窓間は黒く塗装され、連続窓のように見せています。
車両ごとのイメージカラー(上部カラー)は以下の通りです。いずれも日本の伝統色となっています。
1号車 ふじいろ(淡い紫色)
2号車 こきくちなし(赤みの淡い黄橙色)
3号車 ときいろ(淡いピンク)
4号車 びゃくぐん(やわらかい青みの緑)
5号車 ふじいろ(淡い紫色)
6号車 ときいろ(淡いピンク)
上部がふじいろの先頭車のカラーリングが、釣り目のライトケースと相まってドラゴンボールのフリーザに似ていることから、「フリーザ電車」と呼ばれました。
長野支社所属ということで、狭小トンネルのある中央本線の走行に対応する為の改造も実施されました。第1パンタグラフを狭小トンネル対応のPS32形シングルアームパンタグラフに換装し、第2パンタグラフを撤去、485系としては初のシングルアームパンタグラフ搭載車となりました。また、運転席上部にあった前照灯と静電アンテナは撤去され、取り付け位置が変更されました。
彩の内装 リクライニングシートとセミコンパートメントが選べる全車グリーン車の客室
置き換え対象の「浪漫」やその先代の「白樺」と異なり、「彩」はお座敷列車ではありませんでした。全車グリーン車で、1・6号車は2+1配置で回転式リクライニングシートを配置、2・3・5号車はセミコンパートメントとなっています。セミコンパートメントはフルフラットにすることも可能でした。
4号車は1両まるごとフリースペースとなっていて、ロングシートとテーブルを配置、テレビとカラオケ装置が用意されていました。
1・6号車の運転席側にはミニサロンが設けられ、こちらにもテレビが設置されています。
その他のサービスとして1・3・6号車に冷蔵庫と電気ポット、3号車にはマッサージチェアが設置されていました。
運用と引退
「彩」は長野支社での臨時列車・団体列車での運用の他、485系の3電源対応(直流1500V・交流20000V50Hz/60Hz)の特性を生かし、JR東日本の他支社への貸し出しやJR東海・JR西日本管内への乗り入れも実施されました。北は青森、西は東海道線名古屋・北陸本線大聖寺までの運用実績を持ちます。
2015年7月1日、交直切り替え機能が停止され、直流専用車となりました。JR西日本の同様の例のように183系への編入は行われず、原番号に+4000して485系5000番台となりました。
2017年9月30日、団体列車「ありがとう!いろどり号」中央線コース(長野~松本~辰野~富士見~みどり湖~松本)・大糸線コース(松本~白馬~松本~長野)の運用をもって引退、同年10月20日に廃車されました。
ラストランの際、長野支社営業部長は「フリーザ電車」の愛称について「似せて作ったわけではないと思うが、愛称で親しんでもらえたことはうれしい」とコメントしています。
まとめ
いかがでしたでしょうか。今回は「彩」について解説しました。
「フリーザ電車」の愛称で親しまれた「彩」は、485系の原型車体を用いつつ前照灯・ヘッドマークのデザインと塗装の変更で個性的な姿に生まれ変わりました。ゆったりしたリクライニングシートやフルフラットにできるセミコンパートメント、充実したフリースペースと多彩な設備を持つジョイフルトレインとなり、前任のお座敷列車とはまた違った魅力を持つ車両でした。種車の特性を生かし幅広い路線で運用され、10年間にわたり活躍しました。彩で旅行をされた方も多いのではないでしょうか。
最後までお読みいただきありがとうございました。ぜひ他の記事もお読みになってください。
参考文献
ジョイフルトレイン図鑑 小賀野実 JTBパブリッシング
長野県 ありがとうフリーザ電車 イベント用列車「いろどり」最終運行|北陸新幹線で行こう!北陸・信越観光ナビ
「フリーザ電車」引退へ 「ありがとう!いろどり号」運転 JR東日本|乗りものニュース
「フリーザ」と呼ばれた電車「戦闘力」はいくつだったか?|乗りものニュース
【アニメキャラにも例えられ】奇抜な顔でファンを驚かせた鉄道車両6選!|鉄道ホビダス
Wikipedia