新幹線回数券の歴史 誕生から廃止まで58年間の軌跡 ビジネスに大活躍

鉄道
雑用部, CC BY-SA 4.0 , ウィキメディア・コモンズ経由で https://commons.wikimedia.org/wiki/File:1631_JRwest.jpg

こんにちは!今回は「新幹線回数券の歴史」について、東海道新幹線を中心に解説します。

新幹線回数券は開業1年半後の「こだま」から

新幹線回数券が初めて設定されたのは、東海道新幹線開業から1年半後の1966年3月5日でした。このとき発売された「新幹線こだま号自由席特急回数乗車券」は2等車自由席用で10枚綴り、有効期限2か月で、切り離しての使用は不可とされました。

1967年3月1日に「新幹線こだま号自由席特急回数乗車券」は11枚綴り、有効期限3か月に変更され、同年3月11日には1等車自由席用が追加されました。

1969年5月10日には等級制が廃止され、1等車はグリーン車、2等車は普通車に改められました。これに伴い、グリーン車用は「新幹線こだま号自由席グリーン回数乗車券」と改名されました。

「ひかり」に乗れる回数券も登場

1970年6月1日、普通車指定席用で「ひかり」にも乗車可能な「新幹線ビジネス回数乗車券」が発売されました。30枚綴りで有効期限は7か月でした。このとき、前述の「新幹線こだま号自由席特急回数乗車券」を含めて切り離しての使用が可能になりました。

同年10月1日、「こだま」のグリーン車自由席が廃止され、「新幹線こだま号自由席グリーン回数乗車券」が廃止されましたが、12月1日に指定席用の「こだま号用グリーン回数乗車券」が30枚綴り、有効期限7か月で発売されました。

「こだま号用グリーン回数乗車券」は、翌1971年8月1日に「新幹線ビジネスグリーン回数乗車券」となり、「ひかり」でも使用可能になりました。

「ひかり」「こだま」の料金体系統一、「ひかり」自由席設定への対応

1972年3月15日の山陽新幹線岡山開業では、「ひかり」と「こだま」の料金体系が統一されると共に、これまで全車指定席であった「ひかり」に自由席が設定されました。

このとき、「新幹線こだま号自由席特急回数乗車券」は「ひかり」でも利用可能な「新幹線自由席特急回数乗車券」に変更されました。同時に「新幹線ビジネス回数乗車券」は「新幹線指定席特急回数乗車券」に改称、「新幹線ビジネスグリーン回数乗車券」は「新幹線グリーン指定席特急回数乗車券」に改称されています。

1975年3月3日には「新幹線指定席特急回数乗車券」、「新幹線グリーン指定席特急回数乗車券」が11枚綴り、有効期限3か月に変更されました。

大阪鉄道管理局の「新幹線エコノミーきっぷ」

1978年12月15日、大阪鉄道管理局が「新幹線エコノミーきっぷ」を発売しました。普通車指定席用で設定区間は大阪市内~東京都区内、50枚綴りで有効期限3か月でした。

1979年6月1日には東京側でも発売されると同時に、グリーン車用の30枚綴りも登場しています。

1979年10月1日には「新幹線自由席特急回数乗車券」、「新幹線指定席特急回数乗車券」、「新幹線グリーン指定席特急回数乗車券」が6枚綴りに変更されています。

「のぞみ」にも回数券が登場!

1992年3月14日、東海道新幹線の最速達列車として「のぞみ」の運転が始まりました。当初は朝夜に各1往復の設定で、回数券での乗車は不可とされました。

翌1993年3月18日に「のぞみ」が毎時1本運転となり、12月1日に「のぞみ」用の回数券「のぞみ指定席特急回数券」が6枚綴り、有効期限3か月で設定されました。

その後、1999年3月13日には「新幹線エコノミーきっぷ」が廃止され、代わって「新幹線ビジネスきっぷ」が6~25枚綴り、有効期限3か月で発売されました。「新幹線ビジネスきっぷ」は「のぞみ変更券」を買えば「のぞみ」に乗車可能でした。

「のぞみ」主体ダイヤへの対応

2003年10月1日のダイヤ改正で東海道新幹線は「のぞみ」を主体としたダイヤに変更されました。

回数券も「のぞみ」主体ダイヤに対応し、2003年7月1日に「のぞみ」でも追加料金なしで使える「新幹線回数券」が6枚綴り、有効期限3か月で発売されました。自由席用、指定席用、グリーン車用と各種用意され、「のぞみ指定席特急回数券」や「のぞみ」停車駅間の既存の回数券も統合されました。

「新幹線回数券」の東京都区内~大阪市内間の普通車指定席用には6枚綴りの「のぞみ指定席回数券」と20枚綴りの「新幹線回数券20」が用意されました。また、「新幹線ビジネスきっぷ」は2003年8月31日を以って販売を終了しました。

「ひかり」「こだま」向けの回数券

「ひかり」・「こだま」向けには「ひかり・こだま自由席回数券」、「ひかり・こだま指定席回数券」、「ひかり・こだまグリーン回数券」が何れも6枚綴りで販売されました。

また、1998年5月7日より「こだま号専用グリーン回数券」が販売されました。当初は6枚綴りでしたが、2000年3月11日より4枚綴りに変更されました。 

現行の形に(東海道新幹線)

現在の東海道新幹線の「新幹線回数券」は2014年10月1日に登場したものです。東京都区内~大阪市内間の普通車指定席用に用意された6枚綴りの「のぞみ指定席回数券」と20枚綴りの「新幹線回数券20」を統合し、6枚綴りとしました。

東北・上越・北陸新幹線の回数券

1982年6月に東北新幹線が開業した際には、6枚綴りの自由席用回数券のみが発売され、同年11月の上越新幹線開業に合わせて同じく6枚綴りの指定席用・グリーン用回数券が追加されました。

その後、「エコノミーきっぷ」が発売されました。設定区間は東京都区内~仙台市内・新潟市内、普通車指定席用のみで、30枚綴りでした。しかし、2000年に「エコノミーきっぷ」は廃止され、6枚綴りの回数券に統一されました。

2021年6月30日を以って、JR東日本各路線の新幹線回数券は販売終了しています。

JR九州の九州新幹線は「2枚きっぷ」

JR九州では2001年10月1日より在来線特急の往復割引切符や回数券に代わって、2枚綴りの「2枚きっぷ」と4枚綴りの「4枚きっぷ」の販売を開始しました。九州新幹線の回数券も同様に2枚綴りの「2枚きっぷ」で発売され、有効期限は1か月とされました。

新幹線用の2枚きっぷは2021年3月31日に一旦販売終了となりましたが、2023年4月1日より券売機限定で復活しています。

新幹線回数券の廃止はいつ?

近年ではネット予約の利用者増加に伴い、新幹線回数券の利用は減少傾向にありました。

2022年3月31日、東海道新幹線の指定席回数券と山陽新幹線の回数券が販売を終了しました。そして、2024年12月22日には東海道新幹線の自由席回数券も販売終了を予定しています。

まとめ

いかがでしたでしょうか。今回は「新幹線回数券の歴史」について東海道新幹線を中心に解説しました。

東海道新幹線開業の1年半後に「こだま」2等車自由席用から始まった新幹線回数券は、新幹線の移り変わりと共に様々な種類が設定されていき、指定席・グリーン席用や「ひかり」・「のぞみ」といった速達列車に乗れるものが登場していきました。そして、その流れはネット利用客の増加により、ポイントや割引といった回数券とは違った付加価値が付いた商品へと変化しています。寝台列車や食堂車、車内販売等のように、時代の変化で消えていくサービスの中に新幹線回数券も加わるでしょう。

最後までお読みいただきありがとうございました。ぜひ他の記事もお読みになってください。

新幹線定期券の歴史についてもこちらで解説しています。

参考文献

新幹線がわかる事典 原口隆行 日本実業出版社

東海道新幹線 須田寛 JTB

東海道新幹線Ⅱ 須田寛 JTBパブリッシング

JR東海公式サイト

消滅する新幹線回数券 ドル箱失った金券店の次の一手 – 産経ニュース

Wikipedia

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