14か所の候補があった東海道新幹線のターミナル駅 東京駅八重洲側が選ばれた理由

鉄道
Dr.yellow, CC BY-SA 4.0 , ウィキメディア・コモンズ経由で https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Bird%27s%E2%80%90eye_view_of_Tokyo_Station_8.jpg

こんにちは!今回は「東海道新幹線のターミナル駅の選定」について解説します。最初から東京駅に決まっていたと思われる方も多いのではないでしょうか。実は14か所も候補地がありました。

当然東京駅…と思いきや最初から決まっていたわけでは無かった

各方面への新幹線が集まる東京駅。日本の中心と言える東京駅から新幹線が各地に伸びているのは、現在では当たり前のように思われます。しかし、初めて開業した新幹線である東海道新幹線の始発駅には14か所の候補が挙げられ、東京駅はその中の2つ(東京駅丸の内側・東京駅八重洲側)にすぎませんでした。東京駅が東海道本線をはじめ、各方面への在来線のターミナル駅であったのにもかかわらず。

どういった理由で14か所も候補地があったのでしょうか。選定条件はどのようなものだったのでしょうか。順を追ってみていきましょう。

3エリア14か所の候補地

東海道新幹線のターミナル駅の各候補地は3つのエリアに分けることができます。東京駅等の東海道本線沿線エリア、市ヶ谷等の中央部エリア、新宿等の山手エリアです。

交通関係者は地下鉄網の発展を考慮し東京駅に駅を作るべきと主張しましたが、都市計画者は交通が飽和している都心部を避けて副都心に駅を作るべきと主張していました。

東海道本線沿線

候補地は5か所でした。

・品川駅

・汐留駅

・東京駅丸の内側

・東京駅八重洲側

・皇居前広場

中央部

候補地は4か所でした。

・飯田町貨物駅

・市ヶ谷付近

・代官町付近(北の丸公園周辺)

・竹橋付近(気象庁周辺)

山手

候補地は5か所でした。

・新宿駅西口広場

・新宿御苑

・明治神宮外苑

・淀橋浄水場(現在の西口高層ビル群周辺)

・米軍住宅施設ワシントンハイツ(代々木公園周辺)

選定過程と求められた条件

14か所の候補地から条件に基づき絞られていきました。

面積

ターミナル駅には6万平方メートルの面積が必要とされました。長辺を新幹線16両編成の長さである400メートルとすると、短辺は150メートルとなります。スペースの足りない飯田町貨物駅、竹橋付近、新宿御苑、明治神宮外苑は候補から外されました。10か所が残りました。

乗り換え

在来線への乗り換えの利便性が考慮され、市ヶ谷付近、代官町付近、ワシントンハイツが候補から外されました。あと7か所です。

工期

淀橋浄水場は計画時点で移転が完了しておらず、開業までに工事が間に合わない可能性があるとして候補から外されました。残り6か所となりました。

工事難易度

東京駅丸の内側と新宿駅西口広場の場合、地下駅となる為に難工事が予想され、候補から外されました。4か所が残りました。

最終選考

残った候補は品川駅、汐留駅、東京駅八重洲側、皇居前広場で、いずれも東海道本線沿線エリアでした。最終選考ではこれまでの各条件に加え、用地取得、工事の在来線への影響、工費、工期、東北方面への延伸といった点が考慮されました。

皇居前広場は用地取得が困難とされました。汐留駅は貨物駅機能の移転先が見つかりませんでした。品川駅は山側は用地取得が困難で、海側は東北方面への延伸の際の用地取得と工事が困難とされました。

これで残ったのは、そう東京駅八重洲側です。

東京駅八重洲側が選ばれた理由

こうして、東京駅八重洲側が最終的に選ばれました。最終選考に残った候補の中で工費が最も高く、東北方面への延伸も難しいとされましたが、東海道線ホーム増設用に用地が確保されていたこと、乗り換えの利便性に優れることが最終的に決め手となりました。

最初から東京駅に決まっていたと思われていた方も多いのではないでしょうか。実際は様々な条件をクリアし、多くの候補地の中から東京駅八重洲側が選ばれたのですね。

まとめ

いかがでしたでしょうか。今回は「東海道新幹線のターミナル駅の選定」について解説しました。

今では、新幹線のターミナル駅が東京駅であることは当然のように思えます。しかし、東海道新幹線の始発駅が東京駅に決まるまでには多くの候補が検討され、選定作業が行われていました。もし副都心に新幹線駅が作られていたら、都内各地域から来る人々にとっての新幹線の使い勝手は大きく変わっていたでしょう。最終選考で落選した品川駅はその後、2003年に東京駅の機能を補うべく新幹線の駅が設けられ、2034年開業予定のリニア中央新幹線では始発駅に選ばれました。リニア中央新幹線が開業するとまた人々の動きに変化が出るかもしれません。

最後までお読みいただきありがとうございました。ぜひ他の記事もお読みになってください。

参考文献

新幹線の謎と不思議 梅原淳

東海道新幹線 いくつもあった始発駅候補 乗りものニュース

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