こんにちは!今回は東海道新幹線の料金制度の変遷について解説します。東海道新幹線の開業当初、「ひかり」と「こだま」の料金はなぜ異なっていたのでしょうか。また、なぜその後統一されたのでしょうか。
開業当初、「ひかり」は超特急、「こだま」は特急だった
東海道新幹線が開業した1964年10月1日から山陽新幹線岡山開業の前日1972年3月14日まで「ひかり」の列車種別は「超特急」とされていました。「ひかり」乗車時は超特急料金、「こだま」乗車時は特急料金が必要とされていました。
新幹線開業前の在来線特急・急行の料金
「ひかり」「こだま」の所要時間と料金について見ていく前に、新幹線開業前に東海道の輸送を担っていた東海道本線の特急、急行の所要時間、料金を見ていきましょう。
東京~大阪間の所要時間は特急が6時間30分、急行が7時間30分で運転でした。東京~大阪間2等車利用の特急料金は800円、急行料金は300円でした。。
「ひかり」超特急料金と「こだま」特急料金の比較
新幹線は開業当初160km/hで運転され、東京~新大阪間を「ひかり」4時間、「こだま」5時間で結びました。「ひかり」の超特急料金は1300円、「こだま」の特急料金は1100円に設定されました。
1965年11月1日より210km/h運転を開始し所要時間が短縮され、「ひかり」3時間10分・「こだま」4時間運転となりました。在来線時代の約半分の所要時間で東京~大阪の移動が可能になりました。これに伴い料金が改訂され、「ひかり」の超特急料金は1600円、「こだま」の特急料金は1300円とされました。
当時、新幹線の料金体系はA特急料金、B特急料金、C特急料金が設定され、所要時間により以下のように分けられていました。
A特急料金 1600円 東京~新大阪を3時間10分で運転する列車
B特急料金 1300円 東京~新大阪を4時間で運転する列車
C特急料金 1100円 東京~新大阪を5時間で運転する列車
1965年のスピードアップに伴い「ひかり」がB特急料金からA特急料金へ、「こだま」がC特急料金からB特急料金へ変更されたという訳です。しかし、分かりやすさの為に案内上は「ひかり」を超特急料金、「こだま」を特急料金と案内していました。また、1965年10月からは券面の表記がひかり号特急券、こだま号特急券とされています。
山陽新幹線岡山開業を機に「ひかり」「こだま」の料金を統一
1972年3月15日に山陽新幹線が岡山まで開業すると、新大阪~岡山で「ひかり」の停車パターンが多彩になりました。
Wひかり 新大阪~岡山ノンストップ 4往復
Aひかり 新神戸、姫路停車 8往復
Bひかり 山陽新幹線内各駅停車 下り13本、上り14本
山陽新幹線内の「こだま」は朝の下り4本、夜の上り4本のみの設定で、ひかり編成を用いた間合い運用でした。東京~岡山通しの「こだま」を設定すると所要時間が長い為、運用に必要な編成数が増えてしまいます。そこで一部の「ひかり」を各駅に停め、山陽新幹線内での「こだま」の役割を持たせたのです。
山陽新幹線内各駅停車の「ひかり」が登場したことを受け、「ひかり」と「こだま」の料金差を設けるとこをやめ、超特急料金は廃止されました。同時にこれまで「こだま」のみの設定だった自由席を「ひかり」にも設定しました。この改正に伴い東京~名古屋間でこだまを利用した場合、特急料金が400円の割引になる制度が設けられましたが、1975年3月10日のダイヤ改正で廃止され料金が完全に統一されました。
「ひかり」「こだま」の自由席に関してはこちらの記事で詳しく解説しています。
まとめ
いかがでしたでしょうか。今回は東海道新幹線の料金制度の変遷について解説しました。
東海道新幹線の開業当時、所要時間の異なる「ひかり」と「こだま」の料金は別とされ、「ひかり」は超特急、「こだま」は特急として区別されました。しかし、山陽新幹線岡山開業によって、運用上の理由から一部の「ひかり」が山陽新幹線において各駅停車の役割を担うようになります。これにより「ひかり」と「こだま」の料金は統一され、「ひかり」にも自由席が設けられるようになりました。料金が統一されたことにより利便性が向上しました。
最後までお読みいただきありがとうございました。ぜひ他の記事もお読みになってください。
参考文献
新幹線の謎と不思議 梅原淳 東京堂出版
読む・知る・愉しむ 新幹線がわかる事典 原口隆行 日本実業出版社